【映画レビュー】戦争でいちばん傷つくのは子供や若者たち。悲しいけど希望も見えた2作品
今回ご紹介する作品は「あの日の声を探して」と「サラの鍵」です。
これらに共通するテーマは戦争と子供、そして絶望と未来です。
あの日の声を探して
2014年制作のフランス映画でアカデミー賞受賞作 「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督作品。
残酷な紛争のひとつチェチェンで両親を殺された少年と、ささいな犯罪で強制的に兵役にいくことになった青年を描いた作品です。
この少年ハジと青年ニコライのストーリーが交互に進んでいくことになります。
【簡単なストーリー】
ロシアが侵攻し、両親を目の前で殺された少年ハジは、まだ赤ちゃんの弟を連れて逃げます。
しかし9歳の少年に幼い弟を世話できるはずもなく、ある民家の前に弟を置いて去っていきます。
そして何とか避難できた先でEU職員の女性と出会うのですが、ハジは過酷な経験で話すことができなくなっていた、、、
いっぽう戦場に送られた青年ニコライは過酷な兵役やイジメで疲弊していきます。
なんとかその過酷な状況にも耐えていたのですが
ついに最前線に送られることになり、、、
この物語は「紛争」という過酷な経験で話せなくなった少年が再生していく姿と、普通の青年が過酷な状況で徐々に壊れていく姿を対比させて描かれています。
そして最後にハジとニコライの過酷な運命がつながっていきます。
ハジ君役の男の子の演技がすばらしいですね。
セリフなしでも表情ですごく感情が伝わってきます。
未来と絶望が同時に押し寄せてくる作品です。
サラの鍵
2010年制作のフランス映画で、第二次世界大戦時にドイツ支配下のフランスで起こったユダヤ人迫害により過酷な運命をたどった少女と、その少女のことを知ったジャーナリストの現代での苦悩を描いています。
この出来事は1942年に「 ベルディブ事件」と呼ばれる仏警察によるユダヤ人の一斉検挙が行われた事件で、 これにより多くのユダヤ人が収容所に送られたと言われています。
この作品も少女サラと、現代のジャーナリストであるジュリアのストーリーが交互に進んでいきます。
【簡単なストーリー】
ある日突然、フランス当局から連行される家族。
その姉弟の姉サラは幼い弟をとっさに家の納戸に鍵をかけて隠します。
そして弟を残したまま連行され、収容所に送られたあと両親とも引き裂かれることに、、、
それでもサラは弟のために収容所を抜け出し、なんとか弟の待つ家に戻ろうとします。
そして幾多の困難を乗り越えて人々にも助けられ、ついに弟の待つ家にたどり着くのですが、、、
そして現代ではジャーナリストのジュリアがサラが住んでいたアパートの歴史を知り、いろいろと調べていきます。
サラがその後どんな運命をたどったのか、、、
調べれば調べるほど思いもよらない真実にたどり着いてしまう。
そしてそれに関わった人たちも追い詰めてしまうことに、、、
この作品は戦争という無意味なものにすべてを奪われた少女、それに関わり苦悩してきた人達、そして新しい未来へ、、、という物語です。
この最後のシーンは本当に胸が熱くなります。
感想
この2作品はどちらも「ふたりの主人公」のストーリーが交互に進んでいきます。
置かれている環境、年齢、時代の違う主人公たちが戦争という共通したテーマの中で描かれていて、悲劇の中でふたりの運命がつながっていきます。
ただ悲劇だけではなく最後には未来も描かれていて、戦争という題材でしか味わえない絶望感と感動が同時に押し寄せてくる2作品でした。
あと子役のふたりが素晴らしかった、、、ぜひ観てほしい2作品です。
最後までご覧いただきありがとうございます。
※本ページの情報は2020年2月時点のものです。 最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。