【映画レビュー】誰のための戦争なのか。「極限状態が人を変えてしまう」を描いた映画4作品

12月 3, 2019

今回ご紹介する映画は戦争アクションではなく、戦争という極限の状況がもたらす狂気、ストレス、悲劇を描いた作品をお届けしたいと思います。

日常的にニュースなどで戦争や紛争という場面を目にすることがありますが、いまや日本人にとって戦争は非日常的なものです。

戦争映画では主人公が敵を撃ちまくって倒していくようなものが多いですが、現実はただ人を殺すという行為や仲間の死に精神をむしばまれていく人も少なくありません。

そんな非日常的な状況の中の現実を描いた作品は多くありますが、今回は4作品ご紹介します。

まずは簡単なストーリーから。

アメリカン・スナイパー

実在した伝説のスナイパーを描いた作品で、監督はクリント・イーストウッドです。

主人公のクリス・カイルは30歳という年齢で入隊し、特殊部隊シールズのスナイパーとしてイラクの戦地に向かいます。

そこでの活躍は「伝説」と呼ばれるほどで、実際に160人以上の敵を仕留めたと言われ、そんな戦地で活躍しながらも仲間の負傷や戦死などを目の当たりにし、徐々にPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しんでいきます。

そして何度も戦地に行くたびに家族ともうまくいかなくなり、除隊後もPTSDと戦い続けて少しずつ回復し、家族との関係も修復していくのですが、最後に予想だにしなかった悲劇が待っているというストーリーです。

「伝説」のようなワードが出てくると、凄腕のスナイパーが敵を殺しまくる映画のように感じるかもしれませんが、実際はひとりの人間の葛藤や苦しみを描いた作品です。

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THE HORNET’S NEST

本物の戦争は前触れもなく「死」が訪れる、、、と伝わってくる映画。

この映画は実際のアフガニスタンでの作戦に同行した記者のドキュメント作品で、映像のなかの戦闘シーンや兵士たちはすべて本物です。

この映画のすごいところは、ドキュメントなので当然ストーリーもなくいきなり戦闘が始まります。

突然、銃撃されたり、前方を走る車が自爆テロで爆発したり、現地の住民が教えてくれた地雷を淡々と除去したり、すべてが突然ですべてが死と隣り合わせのリアルな映像を伝えていきます。

そしてある作戦に記者が同行するのですが、敵に囲まれての銃撃戦は銃弾が近くをかすめている音がはっきり聞こえたり、リアルな兵士たちの会話が生々しく残されています。

その戦闘のなかで戦死者も数人出てしまうのですが、最後の追悼式で名前を呼び上げるシーンや指揮官が涙を流すシーンは胸に刺さります。

いつ戦闘が起こるかわからない、いつ爆弾が爆発するかわからない、、、こんな緊張感のある日々をずっと過ごせば、誰だって普通ではいられない、、、と感じさせてくれる映画です。

The Hornet’s Nest


マンダウン 戦士の約束

このポスターといい、タイトルといい、まったく期待していなかったけど最後の最後に救われた、、、

この映画も戦争によって精神を蝕まれてしまった主人公を描いていて、現実と妄想の区別がつかなくなるというストーリーです。

現実と妄想の世界を行ききする展開で途中までストーリーを理解するのが困難ですが、ラストに近づくにつれてすべてがつながっていきます。

この映画のテーマは「家族愛」ですが、つらい戦争体験でそれがゆがんでいく、、、でも最後の最後でその愛に救われるシーンは本当に感動させられます。

息子役の少年の演技がすばらしく、最後は本当に泣けます。

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ディア・ハンター

もはや語るまでもない名作で、「戦争」という極限状態が人を変えてしまう、、、ということをリアルに伝えてくれた映画。

ある田舎町の男たちがベトナム戦争で捕虜になり、そこでの体験がそれぞれの人生を大きく変えてしまうというストーリーです。

その体験こそがこの映画の見どころにもなっている「ロシアンルーレット」で、このシーンで描かれる極限状態は後にも先にもこの映画が一番だと思います。

ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、メリル・ストリープなど豪華俳優たちが出演しているのもこの映画の魅力を引き上げていますね。

ディア・ハンター

まとめ

今回ご紹介した映画のテーマは「極限状態は人を変える」です。

さらに「戦争」という死と隣り合わせの状況で、人がどうなっていくのかを伝えている映画です。

もっと深く考えていくと、鍛えられた兵士でさえ精神的なストレスを受けてしまう状況で、戦闘が行われている地域の子供たちはどれだけ精神的なダメージを受けてしまうのか、、、戦死した兵士の家族もそうです。

今回紹介した映画の「マン・ダウン」のエンドロールでこういうメッセージがありました。
・イラクとアフガニスタンからの復員兵5人に1人がPTSDで苦しんでいる
・約20万人がホームレスという現実
・1日に22人が自殺している

戦地から帰還した兵士は精神的・肉体的ダメージを受けていて、多くの人間が社会復帰もできずにいるという現実です。

戦争がなくなることはないと思いますが、自分はこういう映画を観ることでニュースの見方や戦争に対する考え方は変わりました。

今回、映画自体のくわしいストーリーや内容が良い悪いを伝えるのではなく、共通するテーマでご紹介しています。

映画は観るときの気持ちや環境、情報などで捉え方が大きく変わると思っているので、今後もこのようなテーマやいろんな切り口でご紹介していければと思います。

もし気になる映画があれば観て下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました。

※本ページの情報は2020年2月時点のものです。 最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。